阿部知事と公民館主事のランチミーティングが行われました 2017年7月22日 

 7月22日(土)上久堅公民館で、阿部長野県知事と公民館主事によるランチミーティングが行われました。3月6日(月)に予定されていたものが延期となり実現したものです。飯田市駒ヶ根市上田市松本市の主事8人の他、長野県側は知事の他参与の船木成記さん、生涯学習推進センターの筒井美保子さんのほか、私も進行役として参加しました。

 飯田市駒ヶ根市上田市松本市の4市の公民館では、4年前から毎年有志による泊まり込みの学習会を行っています。

 ランチミーティングのテーマは「自治の担い手と支え手が育つ公民館活動について」前半は8人の公民館主事たちからの実践報告、後半は実践報告に基づく意見交換です。

 

〇 学びの県信州へ

 

 冒頭知事のあいさつの中で次のような発言がありました。

 「来年度スタートする新たな総合計画の柱の一つとして『学びの県』という考えを盛り込んでいくための準備を進めています。学校での子どもたちの学びはもちろん、家庭教育や社会の様々な場面での大人たちの学びなど、学びは社会の様々な場や機会で営まれています。長野県の将来を考えれば、教育県としての伝統を活かして、あらゆる人たちが主体的に学び続けられる環境づくりを進め、学ぶ意欲を持ち、そして持ち続ける人々があふれる長野県とするために、県としてどのような政策を作ることができるのか。

 長野県における公民館の役割は重要です。学びの県づくりと公民館をどのように結び付けることができるのか、そんなヒントが生まれるミーティングとなることを期待しています。」

 

〇 主事の皆さんの報告から

 

 続いて、8人の主事の皆さんから3分ずつ、実践報告が行われました。

 

 ▽ 飯田市竜丘公民館主事熊谷隆幸さん「飯田市公民館主事会の活動」

 

 地域で育てられるOJTの学びに加えた、飯田市公民館主事会というOFFJTの学びについて。

  ▽ 飯田市上久堅公民館主事永田麻美子さん「地域と学校が連携して小学生を育てる試み」

 

 「上久堅を学ぶ会」の方言部会が協力した上久堅小学校生徒による方言人形劇を通した大人の学びと子どもの育ちについて。

  ▽ 飯田市伊賀良公民館主事片岡博昭さん「地域と学校が連携して中学生を育てる試み」

 

 地区公民館が、中学校生徒会に地区運動会で小学生を対象とした種目づくりを預けて、地域行事を通した中学生の育ちについて。

  ▽ 飯田市公民館主事小島一人さん「主体的、対話的で深みのある高校生たちの学び」

 

 「素敵な生き方の大人との出会い」「一緒に取組む仲間の存在」「自分が必要とされていること」「取り組みについて考え整理して発表する機会」主催する高校生講座を通した高校生の育ちを支える主事の仕事について。

  ▽ 飯田市信濃公民館主事林優一郎さん「若い世代が地域の将来を考える、若者プロジェクト」

 

 高齢化率50%を超える地域で、「ないものねだりからあるもの探しへ」。課題に向き合う学習を通して、若者たちが地域の将来を自ら考え行動する主体として育っていく取組みについて。

  ▽ 松本市中央公民館主事中山勇太さん「手話教室を通した通訳者が育つ試み」

 

 民生委員、ファミレス店員、歯科衛生士、介護福祉士など、ろう者とコミュニケーションをとりたいと願う多様な参加者の学びを通して、ろう者の社会参画の橋渡しを行う理解者やパートナーが育つ取組みについて。

  ▽ 上田市西部公民館次長中村文昭さん「里山保全を通した担い手が育つ取組み」

 

 地域の人たちと里山のつながりをデザインし直すことをねらいとし、取組みを通して自治体職員である公民館主事が、住民とともに活動することを通して思いを共有し、ともに地域自治に向けた学びを深めていく取組み。

  ▽ 駒ヶ根市赤穂公民館主事塩澤真洋さん「地域を元気にする人材が育つ講座」

 

 生産から販売まで一貫した6次産業講座や、プラモデラー養成講座などを入口とし、これまで地域の活動に縁のない人たちを地域につなげることをねらいとした取組み。

 

〇 阿部知事からの投げかけと意見交換

 

 その後、住民主体で取り組まれているそれぞれの地域の公民館活動に、県としてどのような形で政策的な支援ができるのか、知事と参加者による意見交換が行われました。

 

〇 上田市の中村さんから

 

 登壇者で上田市西部公民館次長の中村文昭さんから翌日、次のようなメールが送られてきました。会のねらいをうまくまとめていただいていますのでご紹介させていただきます。

 

 知事の問題意識が、多様化する、複雑化する社会課題に対し、上意下達では対応しきれず、学びとそれに基づく個々人の自立的主体的な活動が、大切であり、県政としてそういった部分を支援していきたい、ということであることを、知ることができ、大変よかったです。

 なぜ、学びの県、なのか、ということの、ひとつの理由として、共感できるものです。

 また、こうした、学びを、県として、どう支援していくか、という課題もあるのだと、わかりました。

 県の総合計画の話題になりましたが、私は、公民館の条件整備ということで言えば、県政の課題、社会的な課題、地域的な課題、これらにとりくむにあたり、住民と行政が共に、学びの視点、を入れて取り組むことが大切であるという考え方を据えて、その学びの場として、県民に根づいている公民館活動をはじめとする生涯学習の場を、もっと活かしていこう、そういうメッセージを総合計画で出すことが、一番の条件整備になると思いました。

 松本集会で、岡山の重森さんが、公民館のようなものはもっと地域に在ってよく、公民館がそこともっと連携していくことの大切さ、を述べていました。公民館がたくさんあって根づいていることより、公民館活動が根づいていることが長野県の強みの1つであり、そして、課題に取り組む公民館活動のイノベーションは、公民館じゃない、別の組織なり活動でも可能であり、そことの連携を公民館が取り組んでいくことが必要だと、思いました。

 ひとえに、公民館、公民館活動に限界があるのではなく、職員や住民など、人が、公民館や公民館活動の限界を作っているのだろうな、と思います。

 たくさんの気づきをいただいたランチミーティングでした。