長野県社会教育研究大会に参加しました 2017年9月21日

 9月21日(木)長野県総合教育センターで長野県社会教育研究大会が行われました。当日は県内各地から334人の社会教育委員、事務局職員が参加。午前中は全体会、午後は実践報告に基づく6つの分科会が行われました。

 

〇 長野県を社会教育立県に

 午前中の全体会では長和町と宮田村の実践が報告されましたが、研修会に先立つ全体行事の場で、長野県教育委員会を代表してあいさつの機会をいただきました。

 私は平成30年度からスターとする県の総合計画の柱に「学びの県」という考え方を組み込む準備を進めている状況を、先だって訪れた石巻の女性や若者たちの元気な活動と、その背景にある学びを引用しながら、お話しさせていただきました。言うなれば県の総合計画の根っ子には社会教育があるというお話です。

 

〇 私のふるさとをつくる~長和町「ふるさと探検隊」

 長和町は中仙道の街道沿いにある町で、宿場跡や美ヶ原高原など自然や歴史の資源豊かな地域です。

 町では20年前から小学生を対象に毎月1回土曜日に「ふるさと探検隊」に取り組んでいます。

 毎回のテーマは「縄文時代を学ぶ」「林業、酪農、伝統和紙などの産業学習」「パンづくり」など多彩です。

 支える側も農林工商をなりわいにされている方、地域の歴史や文化に詳しい方、保護者など大勢の方たちに支えられています。

 

〇 「ふるさと探検隊」が目指すもの

 探検隊は次の3つのねらいをもって取り組んでいるそうです。

 「①ふるさとの身近な生活文化を、そこに暮らしてきた人々と次の世代が共有すること」

 「②ふるさとに誇りがもてるように、ふるさとを学び知ること」

 「③ふるさとの魅力を多くの人たちに語れるようにすること」

 そして社会教育とは「自ら誇ることができる感性を育む学びの場」というお話が印象に残りました。

 

〇 つながりを育む「バレー祭」

 中川村は上伊那地域の南端、下伊那郡松川村がお隣です。日本で一番美しい村連合に参加し、多くのUIターンの若者たちが定住している村としても知られています。

 「バレー祭」は昭和32年、農家の方たちに特有の肩こりや神経痛など、当時農村病といわれたからだの状態を健康に保つことを目的として始まった事業です。そのため大会と言わず、祭りとしているそうです。今年も小学生から60代まで50チーもが参加して賑やかに行われました。

 バレー祭は昔から村に根付くお祭りの要素を持ったふれあいの場、勝敗は二の次で参加することに楽しさを感じられる場、休憩や応援の場、日頃顔を会わせない方たちがお互い元気でいることがわかる確認の場、終わってからは地区ごとの慰労の場など、人と人と、人と地域のつながりつくりの場としてしっかりとしたねらいを持った取り組みです。

 

〇 子どもたちも共に楽しむ「陣場形山のろしリレー」

 のろしリレーは武田信玄の時代を再現しようと平成20年、飯田や下伊那の有志が始めた試みで、中川村も平成23年度から参加しています。

 他地域では時間を合わせたのろし上げだけの取り組みですが、中川村では20人の村人が、実行委員会を組織して、子どもからシニアまで参加できる催しとして実施しています。特に子どもたちには陣場形山山頂から周囲を見渡す歴史や地理学習や、連だこ、竹田んぼ、水鉄砲、糸電話づくりなど、子どもたちが楽しみながら学ぶしかけと組み合わせて実施しています。

 事業費の不足を捻出するために、村から登山道の整備を請け負って自分たちで汗をかいて事業の資金を捻出する姿勢も見事です。

 

〇 公民館活動とのろし上げが交流の輪(和)の役割を担う

 宮田村の取り組みはそれぞれ「世代間」「地域間」「学習」「時代間」「異文化」という分野の違う交流の重なる取り組みです。それを公民館(バレー祭)と実行委員会(のろし上げ)がつないでいます。

 

〇 大事なことはダイバーシティとつながり

 本日の発表に共通しているのは、子どもと大人、異なる地域同士など立場や考え方の異なる人々が交流することを通して、新しい気付きが生まれてくること(ダイバーシティ)、そして人と人、人とことがつながることで力となることです。

 それぞれの発表ともに事業の先にあるものをねらいとし、そのねらいを未菜で共有して取り組んだ、素晴らしき実践でした。

 若者たちの田園回帰が盛んな中川村にはこういう魅力ある取り組みと人の存在があることを知りました。

 「学びの県信州」が確実に息づいていることを実感できた機会でした。