北海道「学びを通した地方創生コンファレンス」で高校生と話し合いました 2017年11月24日
11月24日(金)札幌にある道立道民活動センターで「学びを通じた地方創生コンファレンス」に参加しました。
〇 主催の北海道公民館協会について
主催は北海道地方創生コンファレンス実行委員会と北海道公民館協会です。
同協会には道内にある179のうち78市町村が加入していますが、特徴的なのは会長が平取町の川上満町長で、組織のなかには首長部会もあり、公民館運営を多くの首長が支えている点です。そして首長の皆さんが社会教育を学ぶセミナーも行われています。
川上町長も町役場に採用された最初が公民館で、公民館や社会教育が、地域の人材を育てる機関として大変重要な役割を持っているという考えを持っておられました。
長野県の公民館の振興を考える上でも、公民館職員の人事や予算を握っている首長の理解は大変重要なポイントと考えており、北海道の体制は大変参考になりました。
〇 参加者の中心は高校生と大学生
今回の集会の参加者は90人。特徴的なのは参加者の半分が高校生と大学生であったことです。
午前中は座学でしたが、午後は8つのグループに別れたワークショップで、ほとんどのグループの報告者は高校生か大学生で、とてもフレッシュでした。
〇 最初は隠岐島前高校の事例から
会冒頭は文科省初等中等局財務課専門幹の中川覚敬さんによる隠岐島島前高校の取り組みについての話です。
中川さんは高校教師の経験から、国の教育を変えたいと一念発起して文科省に入省した経歴を持ち、隠岐島へも志願して2年間出向されたそうです。
島前高校は島留学など今では日本で一番有名な高校ですが、村役場職員や村民の皆さんが本気になって村を何とかしようという思いが、高校生たちにとってのロールモデルとして、育ちによい影響を与えているというお話が印象に残りました。
続いて行われた事例研究では、札幌市立屯田小学校の新保元康校長と私が報告者となり、東京大学教授の牧野篤さんのコーディネートで進められました。
新保さんのお話は、赴任したどの学校においても、地域の方たちとのコミュニケーションを大事にし、その方たちの力を借りて豊かな子どもたちの育ちを実現している実践的なお話でした。
私からは参加者に大勢の高校生がいることから、飯田市公民館が取り組んでいる「高校生講座カンボジアスタディツアー」を例として、講座を通した生徒たちによる、社会の本質に自分たちの言葉で迫っていく深い学びや育ちと、高校生たちの育ちを支える公民館職員や大人たちの関わりについて話をさせていただきました。
〇 若者参加をテーマとしたグループワーク
午後は、若者参加をテーマとしたグループワークです。8つに分かれたグループは、高校生や大学生と、引率の教諭、道内市町村の公民館職員などが混在するグループ分けで進められました。
私が参加したグループは札幌新陽高校生が二人、北海道寿都高校生二人、北翔大学谷川教授、北見市公民館主事、名寄市公民館長と私の7人です。
前半は若者が地域活動に参加しない理由を考え、後半はそれら課題を踏まえて若者たちが参加しやすい地域活動について考えました。
〇 若者に任されて、楽しめて、最後に感動できる事業
私たちのグループがまとめた、若者が参加しやすい事業のキャッチフレーズです。
私たちのグループでは、話し合いの内容を「参加の入り口」「取り組みの内容」「参加の出口」に整理しました。
参加の入り口で大事にしたいことは、若者たちに企画や運営などが任せられること。取り組みの内容では、若者たちにとってお手本になるような、本気の大人に出会えること。出口は参加して良かった、あるいは親しい仲間ができたなど、感動が残ること、とまとめました。
実は言葉出しは大人たちも一緒に取り組んだのですが、それらを分類整理して、報告に至るまではすべて4人の高校生たちに任せました。
〇 大人たちにとっての学び
参加した公民館職員の皆さんに共通する傾向は、職員が事業の企画運営などをお膳立てし、お客さんとして若者に参加してもらうという発想でした。
そのため多くの分科会のまとめは、若者たちに届く告知方法など主催者側の課題になってしまっていました。
高校生に限らず、公民館職員の皆さんにとって事業の企画運営は職員の仕事で、住民はお客様という関係性の上で、社会教育をとらえている傾向があるようです。
社会教育は学習の主体者が何を学びどう育つかがその本質であると考えると、職員の皆さんの意識の変革が必要であると感じました。
会のまとめは新居浜市教育長の関福生さんと牧野先生。関さんは同市の公民館を住民主体で地域課題を解決する公民館に育てた人物でもあります。
〇 ダイバーシティで育つ若者たち
とはいえ、今回の企画が高校生や若者たちが中心で行われたことは極めて画期的なことであると感じています。
大人と若者、大学生と高校生、他校の生徒同士など多彩な参加者の中でのコミュニケーションを通して、自分と異なる考え方と交わりながら、これまでと異なる発想を得られる今回のような機会に若者たちが参加することで、次世代が育ち、公民館職員も育つ学習会でした。
こういう学習会を、長野県でもぜひ実現したいと考えました。
大変実りの多い出張でした