学社連携意見交換会 長野会場に参加しました

 6月8日(木)長野市役所で学社連携意見交換会【長野会場】が開催されました。

〇 信州型コミュニティスクール

 平成26年度に長野県教育委員会が県内小中学校すべてに信州型コミュニティスクールを設置する方針を出し、文化財生涯学習課が主管課、各地区教育事務所の生涯学習課が支え役となり取組みを進めてきました。

 すでに9割の学校が導入・見込で、導入に至っていない学校でも、地域と学校が連携した取組みが多彩に広がっています。

 国の指定するコミュニティスクールは学校運営協議会の設置、信州型は学校運営委員会の設置により、コミュニティスクールとして認定されますが、コミュニティスクールは学校運営に地域住民が参画する仕組みです。導入の背景には少子高齢人口減少社会が進行する中で、子どもたちを地域の宝とし、地域全体で子どもたちを育てる体制と機運を作るというねらいがあります。

 

〇 社会教育法の改正と地域学校協働活動

 一方本年4月に改正された社会教育法では、市町村の社会教育に関わる事務として、新たに「地域学校協働活動」を進めるための連携協力体制の整備が規定されました。

 「地域学校協働活動」とは、学校を含めた地域全体で子どもたちを育てるとともに、そういう取り組みを通して地域を活性化していく取組みを指します。いうなればコミュニティスクールは頭脳、地域学校協働活動が身体、という関係性でしょうか。

 この日の学社連携意見交換会では、長野市内8つの小中学校によるポスターセッションが行われましたが、それぞれの発表は具体的に学校と地域が連携して取り組まれている協働活動が中心であり、コミュニティスクールと地域学校協働活動がすでに連動して展開されていることがわかりました。

 それぞれの発表内容をお聞きしていると、コミュニティスクールの設置以前からすでに地域と連携した取組みが多彩に行われていることがわかり、コミュニティスクールはそういう取り組みが学校や地域の体制が変わっても持続し、また、それらの取組みを通した子どもたちの育ちを共有し、そのことを今後の学校経営に反映させていく仕組みととらえることができます。

 

〇 住民自治協議会と公民館

 それぞれの取組みをお聞きしていると、「住民自治協議会」との連携、という発言が目立ちましたが、これは長野市独自の地域自治の仕組みのようで、過日訪問した芋井地区では、公民館は住民自治協議会の指定管理を受けて運営されており、また、住民自治協議会は長野市役所芋井支所内に事務所を構え、若い専従スタッフが雇用されており、また、地域おこし協力隊員もそこを拠点に活動しています。そういう意味では住民自治協議会は長野市にとって地域と結ぶカギを握る機関ととらえました。

 そしてそういう住民自治協議会と公民館の関係性や役割分担をしっかり整理・共有していくことが長野市の公民館のこれからを考えるときにも大変重要な要素としてとらえました。

 

〇 印象に残る事例

 意見交換会で印象に残った事例をいくつか紹介します。

【芋井小学校】

 地域と学校をつなぐコーディネータを芋井公民館長が務めています。

スクラム川中島

 川中島小学校、昭和小学校、川中島中学校の3校が合同で学校運営委員会を設置し、取組みを進めています。主な活動はスクールボランティア。学校登山、読み聞かせ、音楽授業のリコーダー演奏などに関わっていただいているそうです。

【七二会小学校・中学校】

 住民自治協議会や地域おこし協力隊員も運営協議会のメンバーです。地域の方に協力をいただいたフキ取りで学校活動の資金作りを行う取り組みが特徴的です。

【東北中学校】

 三葉組という学校活動に協力する住民組織がユニークです。40人ほどで組織され、年数回生徒たち時夕食を共にしてコミュニケーションを深めて、授業の講師や課外活動などで子どもたちに寄り添う取り組みを進めています。

篠ノ井西小学校】

 地域のNPOの支援を受けたヤギの飼育の取組みや、篠ノ井民話と伝承の会と連携した人形劇の作成・発表などが行われています。子どもたちによる人形劇団がんもどきは、昨年のいいだ人形劇フェスタに上演参加しています。

【大岡中学校】

 昨年度より地域の運動会と学校の運動会を合同にしました。また、住民自治協議会が企画した「集落学校」という地元学を学ぶ講座に、中学生たちも参加しています。またこれも住民自治協議会が企画した「住民ディレクター講座」にも参加しています。

 

〇 地域と学校を結ぶコーディネート機能

 思った以上に学校ごとに個性的な取組みが広がっていました。またそれぞれの学校にはコーディネータが配置され、地域と学校をつなぐ活動が取り組まれています。それでも学校側、特に教頭先生が取り組みの中心として活動されているようで、教頭先生への負担が大きくなっているようです。

 飯田の場合は公民館が地域の社会教育機関として、地域とのつなぎ役となり、組織的な支援の体制ができています。

 地域によって取り組みの仕組みの違いがあることがわかりましたが、それぞれに面白い実践が展開されています。こういう事例が地域を超えて交流されることで、互いの活動に刺激を受け、より良い取り組みになっていくのではないかと感じました。