飯田市の公民館にインターンシップで赴任している尼崎市職員の振り返り会に参加しました 2017年10月10日

 10月10日(火)、飯田市公民館で、6月より尼崎市から飯田市インターンシップとして赴任している桂山君(竜丘公民館)と前阪さん(上久堅公民館)の月に一度の振り返り会を行いました。

 振り返り会は、長野県参与で尼崎市顧問でもある船木成記さんが進行し、受け入れ側の公民館主事である熊谷君(竜丘公民館)、永田さん(上久堅公民館)、参事で飯田市公民館副館長松下君、補佐の氏原さんも参加しました。

 ちょうど両地区とも10月8日(日)に地区最大の行事である運動会が終わったところです。また、両地区とも11月には地区のもう一つの大きな事業である文化祭に向けた準備も進めており、それぞれの取組みとそのプロセスの中の気づきを中心に振り返りを行いました。

 インターンシップとして赴任している職員の皆さんや、受け入れ側の飯田市公民館だけでなく、広く公民館や自治、社会教育の在り方を考えるうえでも大事な気づきをもらえる機会でした。

 印象的な発言をご紹介します。

 

〇 大事なのは事業よりもそのプロセス

 

(前阪)

 11月18日(土)、19日(日)に行われる上久堅地区文化祭のうち、小学校体育館で行われる企画を担当しています。ステージでは地区の芸能グループなどによる発表が行われますが、広い施設で後方のスペースが空いている状況です。そこで文化委員会では、後方で子どもたちが楽しむことができる企画を入れ込もうという発案がありましたが、文化祭実行委員会では、子どもたちが騒いでいると発表会に参加する人たちの迷惑になると否決されてしまいました。せっかくの文化委員の発意が実現するために、公民館主事としての関わり方があったのではないかと反省しています。

(船木)

 公民館は、事業の成功を目的とする以上に、事業に関わる住民同士が事業に向けた話し合いのプロセスを大事にするという視点が必要です。「この仕事を成し遂げたのは我々だ」と皆が思えるような取組みであることに意味があります。

 

 

〇 公民館を一人ひとりの居心地のいい場所とする

(氏原)

 

 丸山公民館主事の時代の文化委員長のことを思い出しました。当時の文化委員長は委員会を引っ張っていくというリーダーシップではなく、いろいろなことに気配りがきく方で、文化委員会に参加した人たちが、居心地がいい場所と感じるような雰囲気作りを大事にしていました。公民館や自治の現場というのは、必ずしも何かを決める場所でなくてもよく、○○さんがここにいても良い、という参加の場所としてとらえることが大事だと思います。

 

〇 その時々に柔らかく変わる、公民館主事の役割

 

(氏原)

 これも丸山公民館主事時代の経験ですが、場づくりを大事にしていた文化委員長と異なり、体育委員長は引っ張っていくというタイプの方でした。そこで公民館主事の私は、体育委員会では、体育委員会一人ひとりがこの会議に参加して良かったと思えるような雰囲気づくりに務めました。公民館主事は、その場の状況を把握しながら、良い場づくりとなるために、自分の役割を果たしていく仕事であるととらえています。

 

〇 公民館主事は風の立場でもある

 

(桂山)

 古墳の会の事務局を担当していますが、古墳の出土品の調査活動をすることになりました。長く古墳保存の取組みに関わっている人たちはご自分でどんどん進めようとされていますが、そうではなく皆の力で調査活動をしていった方が良いと考えるメンバーもいるのですが、それぞれの意見が折り合えず、メンバー全体がチームになりきれていない状況です。

 

(松下)

 参加者一人ひとりに温度差があるのは当たり前です。そんな時、地域の人同士の関係だけだと閉塞感に陥ってしまうところを、上手につないでいくのも風としての公民館主事の役割です。

 

(船木)

 古墳保存は30年以上続いている活動です。代が代わりながらも継続している活動の中で6ヵ月という期間事務局に関わる桂山君にとって、すべての課題をその間に成し遂げるのではなく、自分のいる間にはここまでを成し遂げるという中間目標を作って向き合うことが大切です。

 

〇 公民館活動で大事にしたいこと

 

 

(松下)

 それぞれの現場で、活動に関わる地域の人々にとって自分が決めていけるという裁量があることでものごとに関わることができることが大事です。公民館主事はそういう場づくりを常に心がけていくことが必要です。

 

(船木)

 公民館活動や自治の活動は大きな流れを見通しながら、公民館主事や役員が代わりながら、その時その時に皆がコミットしたというプロセスを残していくことが大事です。

 

(松下)

 公民館に関わる一人ひとりが、活動について、自分の言葉で関わることができるようになることが大事です。

 

〇 公民館役員とリーダーシップ、メンバーシップ

 

 

(熊谷)

 竜丘地区運動会の反省会の場で、運動会の振興の中でも大事な役回りである審判委員長について話し合った。来年の委員長は、自分は引っ張っていくことができる性格ではなく、審判委員長を務める自信がないという発言をしました。これに対して他のメンバーからは、委員長が一人で役を抱えるのではなく、皆が支えていくからぜひ前向きに受け止めてほしい、という発言がありました。引っ張るリーダーシップではなく、皆に任せるリーダーシップ、失敗を許容するリーダーシップなど、リーダーシップにもいろいろなタイプがあると考えています。

 

(船木)

 事を起こすために理想のメンバーを集めるのではなく、そこに集まったメンバーの中で補い合うという視点が必要です。

 

〇 学ぶことを目的化しないこと

 

(前阪)

 良く「学び」が大事というけれど、そういう「学び」を入口とすると、堅くなってしまいます。「遊び」「楽しみ」という表現の方が入りやすいと感じています。公民館主事として、一人ひとりの役員がどういうところが楽しいのか、様子を見ながら関わることが大切であるととらえています。

 

(船木)

 学びを目的化してはいけません。当人は学んでいると思っていなくても、結果として学んでいる、ということが大事です。

 

〇 大事なのは協働の現場を肌で感じること

 

 

(船木)

 二人が半年間で経験したことで、持ち帰ってその経験だけで尼崎の地域自治や学びの仕組みを変えていけるわけではありません。二人に期待しているのはまず、飯田の公民館の現場で、住民と行政職員である公民館主事が協働するとはどういうことかを肌で感じることです。まずは自分自身の実体験を積むこと、そのことを意味づけておくことを大事にしてください。